点]が燃えている。仰向《あおむ》くと、泥で濡《ぬ》れた梯子段が、暗い中まで続いている。是非共登らなければならない。もし途中で挫折《ざせつ》すれば犬死になる。暗い坑《あな》で、誰も人のいない所で、日の目も見ないで、鉱《あらがね》と同じようにころげ落ちて、それっきり忘れられるのは――案内の初さんにさえ忘れられるのは――よし見つかっても半獣半人の坑夫共に軽蔑《けいべつ》されるのは無念である。是非共登り切っちまわなければならない。カンテラ[#「カンテラ」に傍点]は燃えている。梯子は続いている。梯子の先には坑が続いている。坑の先には太陽が照り渡っている。広い野がある、高い山がある。野と山を越して行けば華厳の瀑がある。――どうあっても登らなければならない。
左の手を頭の上まで伸ばした。ぬらつく段木を指の痕《あと》のつくほど強く握った。濡れた腰をうんと立てた。同時に右の足を一尺上げた。カンテラ[#「カンテラ」に傍点]の灯《ひ》は暗い中を竪《たて》に動いて行く。坑は層一層《そういっそう》と明かるくなる。踏み棄《す》てて去る段々はしだいしだいに暗い中に落ちて行く。吐く息が黒い壁へ当る。熱い息である。そ
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