っとも明かに分った。
「ちったあ気分は好いか」
「ええ少しは好いようです」
「じゃ、そろそろ登ってやろう」
と云うから、礼を云って立っていると、初さんは景気よく段木《だんぎ》を捕《つかま》えて片足|踏《ふ》ん掛《が》けながら、
「登りは少し骨が折れるよ。そのつもりで尾《つ》いて来ねえ」
と振り返って、注意しながら登り出した。自分は何となく寒々しい心持になって、下から見上げると、初さんは登って行く。猿のように登って行く。そろそろ登ってくれる様子も何もありゃしない。早くしないとまた置いてきぼりを食う恐れがある。自分も思い切って登り出した。すると二三段足を運ぶか運ばないうちになるほどと感心した。初さんの云う通り非常に骨が折れる。全く疲れているばかりじゃない。下りる時には、胸から上が比較的前へ出るんで、幾分か背の重みを梯子《はしご》に託する事ができる。しかし上りになると、全く反対で、ややともすると、身体が後《うしろ》へ反《そ》れる。反れた重みは、両手で持ち応《こた》えなければならないから、二の腕から肩へかけて一段ごとに余分の税がかかる。のみならず、手の平《ひら》と五本の指で、この|〆高《しめだ
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