んで、強いて形容すれば、疝気《せんき》に引っ張られたとでも叙《じょ》したら善かろう。何しろ腰が伸《の》せない。もっともこれは逆桟道《さかさんどう》の祟《たた》りだと一概に断言する気でもない、さっきから案内の初さんの方で、だいぶ御機嫌《ごきげん》が好いので、相手の寛大な御情《おなさけ》につけ上って、奮発の箍《たが》がしだいしだいに緩《ゆる》んだのもたしかな事実である。何しろ歩けなくなった。この腰附を見ていた初さんは、
「どうだ歩けそうもねえな。まるで屁《へ》っぴり腰だ。ちっと休むが好い。おれは遊びに行って来るから」
と云ったぎり、暗い所を潜《くぐ》って、どこへか出て行った。
 あとは云うまでもなく一人になる。自分はべっとりと、尻を地びたへ着けた。アテシコ[#「アテシコ」に傍点]はこう云うときに非常に便利になる。御蔭《おかげ》で、岩で骨が痛んだり、泥で着物が汚《よご》れたりする憂いがないだけ、惨憺《みじめ》なうちにも、まだ嬉しいところがあった。そうして、硬く曲った背中を壁へ倚《も》たせた。これより以上は横のものを竪《たて》にする気もなかった。ただそのままの姿勢で向うの壁を見詰めていた。身体
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