らない自分はまた例の所へ来たなと感づいて、往きに臍《へそ》の近所が氷りつきそうであった事を思い出しつつ、今か今かと冷たい足を運んで行ったが、※[#「易+鳥」、第4水準2−94−27]《いすか》の嘴《はし》と善《い》い方へばかり、食い違って、行けば行くほど、水が浅くなる。足が軽くなる。ついにはまた乾いた路へ出てしまった。初さんに、
「もう済んだでしょうか」
と聞いて見ると、初さんはただ笑っていた。その時は自分も愉快だったが、しばらくすると、例の梯子《はしご》の下へ出た。水は胸までくらい我慢するがこの梯子には、――せめて帰り路だけでも好いから、遁《のが》れたかったが、やっぱりちょうどその下へ出て来た。自分は蜀《しょく》の桟道《さんどう》と云う事を人から聞いて覚えていた。この梯子は、桟道を逆《さかさ》に釣るして、未練なく傾斜の角度を抜きにしたものである。自分はそこへ来ると急に足が出なくなった。突然|脚気《かっけ》に罹《かか》ったような心持になると、思わず、腰を後《うしろ》へ引っ張られた。引っ張られたのは初さんに引っ張られたのかと思う読者もあるかもしれないが、そうじゃない。そう云う気分が起った
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