どぶどぶ動く水が、急に膝まで減った。爪先で探ると段々がある。一つ、二つと勘定すると三つ目で、水は踝《くろぶし》まで落ちた。それで平らに続いている。意外に早く高い所へ出たんで、非常に嬉《うれ》しかった。それから先は、とんとん拍子《びょうし》に嬉しくなって、曲れば曲るほど地面が乾いて来る。しまいにはぴちゃりとも音のしない所へ出た。時に初さんが器械を見る気があるかと尋ねたが、これは諸方のスノコ[#「スノコ」に傍点]から落ちて来た鉱《あらがね》を聚《あつ》めて、第一坑へ揚げて、それから電車でシキ[#「シキ」に傍点]の外へ運び出す仕掛を云うんだと聞いて、頭から御免蒙《ごめんこうぶ》った。いくら面白く運転する器械でも、明日《あす》の自分に用のない所は見る気にならなかった。器械を見ないとするとこれで、まあ坑内の模様を一応見物した訳になる。そこで案内の初さんが帰るんだと云う通知を与えてくれた。腰きり水に漬《つ》かるのは、いかな初さんも一度でたくさんだと見えて、帰りには比較的|濡《ぬ》れないで済む路を通ってくれた。それでも十間ほどは腫《ふく》ら脛《はぎ》まで水が押し寄せた。この十間を通るときに、様子を知
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