。満更《まんざら》苦しくない事もないんだろうが、一つは新参の自分に対して、景気を見せるためじゃないかと思った。それとも煙は坑《あな》から坑へ抜け切って、陸《おか》の上なら、大抵晴れ渡った時分なのに、路が暗いんでいつまでも煙が這《は》ってるように感じたり噎《む》せっぽく思ったのかも知れない。そうすると自分の方が悪くなる。
 いずれにしても苦いところを我慢して尾《つ》いて行った。また胎内潜《たいないくぐ》りのような穴を抜けて、三四間ずつの段々を、右へ左へ折れ尽すと、路が二股《ふたまた》になっている。その条路《えだみち》の突き当りで、カラカラランと云う音がした。深い井戸へ石片《いしころ》を抛《な》げ込んだ時と調子は似ているが、普通の井戸よりも、遥《はるか》に深いように思われた。と云うものは、落ちて行く間《ま》に、側《がわ》へ当って鳴る音が、冴《さ》えている。ばかりか、よほど長くつづく。最後のカラランは底の底から出て、出るにはよほど手間《てま》がかかる。けれども一本道を、真直《まっすぐ》に上へ抜けるだけで、ほかに逃道がないから、どんなに暇取っても、きっと出てくる。途中で消えそうになると、壁の反
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