《けしき》だから、気味が悪いとは思ったが、何しろ自由行動のとれる身体ではなし、精神は無論独立の気象《きしょう》を具《そな》えていないんだから、いかに先輩だって逃げていい時分には、逃げてくれるだろうと安心して、後《あと》をつけて出ると、むっとするほどの煙《けむ》が向うから吹いて来たんで、こりゃ迂濶《うっかり》深入はできないわと云う腹もあって、かたがた後《うしろ》を向く途端《とたん》に、さっきの連中がもう、煙の中でかあん、かあん、鉱《あらがね》を叩《たた》いているのが聞えたんで、それじゃやっぱり安心なのかと、不審のあまりこの質問を起して見たんである。すると初さんは、煙の中で、咳《せき》を二つ三つしながら、
「驚かなくってもいい。ダイナマイト[#「ダイナマイト」に傍点]だ」
と教えてくれた。
「大丈夫ですか」
「大丈夫でねえかも知れねえが、シキ[#「シキ」に傍点]へ這入《はい》った以上、仕方がねえ。ダイナマイト[#「ダイナマイト」に傍点]が恐ろしくっちゃ一日だって、シキ[#「シキ」に傍点]へは這入れねえんだから」
自分は黙っていた。初さんは煙の中を押し分けるようにずんずん潜《くぐ》って行く
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