られて驚いたが、飯場《はんば》へ着くが早いか、今度は反対に、儲からない儲からないで立てつづけに責められるんで、大いに辟易《へきえき》した。しかし地《じ》の底ではよもやそんな話も出まいと思ってここまで降りて来たが、人に逢えばまた儲からないを繰り返された。あんまり馬鹿馬鹿しいんで何とか答弁をしようかとも考えたが、滅多《めった》な事を云えば擲《は》りつけられるだけだから、まあやめにして置いた。さればと云って返事をしなければまたやりつけられる。そこで、こう云った。
「なぜ儲からないんです」
「この銅山《やま》には神様がいる。いくら金を蓄《た》めて出ようとしたって駄目だ。金は必ず戻ってくる」
「何の神様ですか」
と聞いて見たら、
「達磨《だるま》だ」
と云って、四人《よつたり》ながら面白そうに笑った。自分は黙っていた。すると四人は自分を措《お》いてしきりに達磨の話を始めた。約十分余りも続いたろう。その間自分はほかの事を考えていた。いろいろ考えたうちに一番感じたのは、自分がこんな泥だらけの服を着て、真暗な坑《あな》のなかに屈《しゃが》んでるところを、艶子《つやこ》さんと澄江《すみえ》さんに見せたら
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