楽《らく》になる。四人《よつたり》がいろいろな話をしている。
「広本《ひろもと》へは新らしい玉《たま》が来たが知ってるか」
「うん、知ってる」
「まだ、買わねえか」
「買わねえ、お前《めえ》は」
「おれか。おれは――ハハハハ」
と笑った。これは這入《はい》って来た時、顔中ぼんやり見えた男である。今でもぼんやり見える。その証拠には、笑っても笑わなくっても、顔の輪廓《りんかく》がほとんど同じである。
「随分手廻しがいいな」
と初さんもいささか笑っている。
「シキ[#「シキ」に傍点]へ這入《へえ》ると、いつ死ぬか分らねえからな。だれだって、そうだろう」
と云う答があった。この時、
「御互に死なねえうちの事だなあ」
と一人《だれか》が云った。その語調には妙に咏嘆《えいたん》の意が寓《ぐう》してあった。自分はあまり突然のように感じた。
 そうしているうちに、一間《いっけん》置いて隣りの男が突然自分に話しかけた。
「御前《おめえ》はどこから来た」
「東京です」
「ここへ来て儲《もう》けようたって駄目だぜ」
と他《ほか》のが、すぐ教えてくれた。自分は長蔵さんに逢うや否や儲かる儲かるを何遍となく聞かせ
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