まち挙《あ》げた。下から賽《さい》が出た。――ところへ自分と初さんが這入った。
 三人はひとしく眼を上げて、自分と初さんを見た。カンテラ[#「カンテラ」に傍点]が土の壁に突き刺してある。暗い灯《ひ》が、ぎろりと光る三人の眼球《めだま》を照らした。光ったものは実際眼球だけである。坑は固《もと》より暗い。明かるくなくっちゃならない灯も暗い。どす黒く燃えて煙《けぶり》を吹いている所は、濁った液体が動いてるように見えた。濁った先が黒くなって、煙と変化するや否や、この煙が暗いものの中に吸い込まれてしまう。だから坑の中がぼうとしている。そうして動いている。
 カンテラ[#「カンテラ」に傍点]は三人の頭の上に刺さっていた。だから三人のうちで比較的|判然《はっきり》見えたのは、頭だけである。ところが三人共頭が黒いので、つまりは、見えないのと同じ事である。しかも三つとも集《かたま》っていたから、なおさら変であったが、自分が這入《はい》るや否や、三つの頭はたちまち離れた。その間から、壺《つぼ》が見えたんである。壺の下から賽《さい》が見えたんである。壺と、賽と、三人の異《い》な叫び声を聞いた自分は、次に三人
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