シキ」に傍点]へ這入《はい》ったが、ただシキ[#「シキ」に傍点]の様子を見るのが第一の目的であったためか、廻り道をして作事場へは寄らなかったと見えて、坑夫の仕事をしているところは、この段々の下へ来て、初めて見た。――稲妻形《いなずまがた》に段々を下りるときは、むやみに下りるばかりで、いくら下りても尽きないのみか、人っ子一人に逢《あ》わないものだから、はなはだ心細かったが、はじめて作事場へ出て、人間に逢ったら、大いに嬉しかった。
 見ると丸太《まるた》の上に腰をかけている。数は三人だった。丸太は四《よ》つや丸太《まるた》で、軌道《レール》の枕木くらいなものだから、随分の重さである。どうして、ここまで運んで来たかとうてい想像がつかない。これは天井の陥落を防ぐため、少し広い所になると突っかい棒に張るために、シチュウ[#「シチュウ」に傍点]が必要な作事場へ置いて行くんだそうだ。その上に二人《ふたあり》腰を掛けて、残る一人が屈《しゃが》んで丸太へ向いている。そうして三人の間には小さな木の壺《つぼ》がある。伏せてある。一人がこの壺を上から抑《おさ》えている。三人が妙な叫び声を出した。抑えた壺をたち
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