》して、一面に囲炉裏《いろり》の周囲《まわり》を襲《おそ》って来た。並んでいる十四五人の顔がしだいしだいに漠然《ぼんやり》する。同時に囲炉裏の真中《まんなか》に山のようにくべた炭の色が、ほてり返って、少しずつ赤く浮き出すように思われた。まるで、自分は坑《あな》の底へ滅入込《めいりこ》んで行く、火はこれに反して坑からだんだん競《せ》り上がって来る、――ざっと、そんな気分がした。時にぱっと部屋中が明るくなった。見ると電気灯が点《つ》いた。
「飯でも食うべえ」
と一人が云うと、みんな忘れものを思い出したように、
「飯を食って、また交替か」
「今日は少し寒いぞ」
「雨はまだ降ってるのか」
「どうだか、表へ出て仰向《あおむ》いて見な」
などと、口々に罵《ののし》りながら、立って、階下段《はしごだん》を下りて行った。自分は広い部屋にたった一人残された。自分のほかにいるものは病人の金《きん》さんばかりである。この金さんがやっぱり微《かすか》な声を出して唸《うな》ってるようだ。自分は囲炉裏の前に手を翳《かざ》して胡坐を組みながら、横を向いて、金さんの方を見た。頭は出ていない。足も引っ込ましている。金さ
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