へ坐ったまま、大きな声で慰《なぐさ》めている。慰めてるんだか、悪口《あくたい》を吐《つ》いているんだか疑わしいくらいである。坑夫から云うと、どっちも同じ事なんだろう。病人はただううんと挨拶《あいさつ》――挨拶にもならない声を微《かす》かに出すばかりであった。そこで大勢は懸合《かけあい》にならない慰藉《いしゃ》をやめて、囲炉裏の周囲《まわり》だけで舌《した》の用を弁じていた。しかし話題はまだ金さんを離れない。
「なあに、病気せえしなけりゃ、金公だって嚊を取られずに済むんだあな。元を云やあ、やっぱり自分が悪いからよ」
と一人が、金さんの病気をさも罪悪のように評するや否や、
「全くだ。自分が病気をして金を借りて、その金が返せねえから、嚊を抵当に取られちまったんだから、正直のところ文句《もんく》の附けようがねえ」
と賛成したものがある。
「若干《いくら》で抵当に入れたんだ」
と聞くと、向側《むこうがわ》から、
「五両だ」
と誰だか、簡潔に教えた。
「それで市《いち》の野郎が長屋へ下がって、金しゅうと入れ代った訳か。ハハハハ」
 自分は囲炉裏の側《そば》に坐ってるのが苦痛であった。背中の方がぞく
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