ちに、じゃじゃん、じゃららんと時を句切《くぎ》って、拍子《ひょうし》を取りながら叩き立てて来る。すると今度は木唄《きやり》の声が聞え出した。純粋の木唄では無論ないが、自分の知ってる限りでは、まあ木唄と云うのが一番近いように思われる。この時冷評は一時にやんだ。ひっそりと静まり返る山の空気に、じゃじゃん、じゃららんが鳴り渡る間を、一種異様に唄《うた》い囃《はや》して何物か近づいて来た。
「ジャンボー[#「ジャンボー」に傍点]だ」
と一人が膝頭《ひざがしら》を打たないばかりに、大きな声を出すと、
「ジャンボー[#「ジャンボー」に傍点]だ。ジャンボー[#「ジャンボー」に傍点]だ」
と大勢口々に云いながら、黒い塊《かたまり》がばらばらになって、窓の方へ立って行った。自分は何がジャンボー[#「ジャンボー」に傍点]なんだか分らないが、みんなの注意が、自分を離れると同時に、気分が急に暢達《のんびり》したせいか、自分もジャンボー[#「ジャンボー」に傍点]を見たいと云う余裕ができて、余裕につれて元気も出来た。つくづく考えるに、人間の心は水のようなもので、押されると引き、引くと押して行く。始終手を出さない相
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