て無理に厭《いや》なものを口に入れてさえ、箸を置くや否や散々に嘲弄された。その時は随分つらい事と思ったが、その後《ご》日に三度ずつは、必ずこの南京米に対《むか》わなくっちゃならない身分となったんで、さすがの壁土も慣《な》れるに連《つ》れて、いわゆる銀米と同じく、人類の食い得べきもの、否食ってしかるべき滋味と心得るようになってからは、剥膳《はげぜん》に向って逡巡《しりごみ》した当時がかえって恥ずかしい気持になった。坑夫共の冷かしたのも万更《まんざら》無理ではない。今となると、こんな無経験な貴族的の坑夫が一杯の南京米を苦に病《や》むところに廻《めぐ》り合わせて、現状を目撃したら、ことに因《よ》ると、自分でさえ、笑うかも知れない。冷かさないまでも、善意に笑うだけの価値《ねうち》は十分あると思う。人はいろいろに変化するもんだ。
南京米の事ばかり書いて済まないから、もうやめにするが、この時自分の失敗《しくじり》に対する冷評は、自然のままにして抛《ほう》って置いたなら、どこまで続いたか分らない。ところへ急に金盥《かなだらい》を叩《たた》き合せるような音がした。一度ではない。二度三度と聞いているう
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