れつきの赤んべんで、おまけに結膜《けつまく》が一面に充血している。
「僕は東京です」
と答えたら、赤んべんが、肉のない頬を凹《へこ》まして、愚弄《ぐろう》の笑いを洩《も》らしながら、三軒置いて隣りの坑夫をちょいと顎《あご》でしゃくった。するとこの相図を受けた、願人坊主《がんにんぼうず》が、入れ替ってこんな事を云った、
「僕だなんて――書生《しょせ》ッ坊《ぼ》だな。大方《おおかた》女郎買でもしてしくじったんだろう。太え奴だ。全体《ぜんてえ》この頃の書生ッ坊の風儀が悪くっていけねえ。そんな奴に辛抱が出来るもんか、早く帰《けえ》れ。そんな瘠《やせ》っこけた腕でできる稼業《かぎょう》じゃねえ」
自分はだまっていた。あんまり黙っていたので張合《はりあい》が抜けたせいか、わいわい冷かすのが少し静まった。その時一人の坑夫――これは尋常な顔である。世間へ出しても普通に通用するくらいに眼鼻立が調《ととの》っていた。自分は、冷かされながら、眼を上げて、黒い塊《かたまり》を見るたびに、人数《にんず》やら、着物やら、獰猛《どうもう》の度合やらをだんだん腹に畳み込んでいたが、最初は総体の顔が総体に骨と眼ででき
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