いわんや霜《しも》においてをやで、軒下に立ち明かして、日の出を待つのは、どんなに辛《つら》いかとうてい想像が出来るものではない。この間しめ出しを食った時なぞは野良犬の襲撃を蒙《こうむ》って、すでに危うく見えたところを、ようやくの事で物置の家根《やね》へかけ上《あが》って、終夜|顫《ふる》えつづけた事さえある。これ等は皆御三の不人情から胚胎《はいたい》した不都合である。こんなものを相手にして鳴いて見せたって、感応《かんのう》のあるはずはないのだが、そこが、ひもじい時の神頼み、貧のぬすみに恋のふみと云うくらいだから、たいていの事ならやる気になる。にゃごおうにゃごおうと三度目には、注意を喚起するためにことさらに複雑なる泣き方をして見た。自分ではベトヴェンのシンフォニーにも劣らざる美妙の音《おん》と確信しているのだが御三には何等の影響も生じないようだ。御三は突然膝をついて、揚げ板を一枚はね除《の》けて、中から堅炭の四寸ばかり長いのを一本つかみ出した。それからその長い奴を七輪《しちりん》の角でぽんぽんと敲《たた》いたら、長いのが三つほどに砕けて近所は炭の粉で真黒くなった。少々は汁の中へも這入《は
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