か合わぬか是非とも試験して見たくなる。試験して見れば必ず失望するにきまってる事ですら、最後の失望を自《みずか》ら事実の上に受取るまでは承知出来んものである。吾輩はたまらなくなって台所へ這出《はいだ》した。まずへっつい[#「へっつい」に傍点]の影にある鮑貝《あわびがい》の中を覗《のぞ》いて見ると案に違《たが》わず、夕《ゆう》べ舐《な》め尽したまま、闃然《げきぜん》として、怪しき光が引窓を洩《も》る初秋《はつあき》の日影にかがやいている。御三《おさん》はすでに炊《た》き立《たて》の飯を、御櫃《おはち》に移して、今や七輪《しちりん》にかけた鍋《なべ》の中をかきまぜつつある。釜《かま》の周囲には沸《わ》き上がって流れだした米の汁が、かさかさに幾条《いくすじ》となくこびりついて、あるものは吉野紙を貼《は》りつけたごとくに見える。もう飯も汁も出来ているのだから食わせてもよさそうなものだと思った。こんな時に遠慮するのはつまらない話だ、よしんば自分の望通りにならなくったって元々で損は行かないのだから、思い切って朝飯の催促をしてやろう、いくら居候《いそうろう》の身分だってひもじいに変りはない。と考え定め
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