轤煖Cがつかなかったが今から考えると妙な事ばかり並べていたよ。僕のうちなどへ来て君あの松の木へカツレツが飛んできやしませんかの、僕の国では蒲鉾《かまぼこ》が板へ乗って泳いでいますのって、しきりに警句を吐いたものさ。ただ吐いているうちはよかったが君表のどぶ[#「どぶ」に傍点]へ金《きん》とん[#「とん」に傍点]を掘りに行きましょうと促《うな》がすに至っては僕も降参したね。それから二三日《にさんち》するとついに豚仙になって巣鴨へ収容されてしまった。元来豚なんぞが気狂になる資格はないんだが、全く独仙の御蔭であすこまで漕ぎ付けたんだね。独仙の勢力もなかなかえらいよ」
「へえ、今でも巣鴨にいるのかい」
「いるだんじゃない。自大狂《じだいきょう》で大気焔《だいきえん》を吐いている。近頃は立町老梅なんて名はつまらないと云うので、自《みずか》ら天道公平《てんどうこうへい》と号して、天道の権化《ごんげ》をもって任じている。すさまじいものだよ。まあちょっと行って見たまえ」
「天道公平?」
「天道公平だよ。気狂の癖にうまい名をつけたものだね。時々は孔平《こうへい》とも書く事がある。それで何でも世人が迷ってる
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