不壊《こんごうふえ》のからだだと号して寺内《じない》の蓮池《はすいけ》へ這入《はい》ってぶくぶくあるき廻ったもんだ」
「死んだかい」
「その時も幸《さいわい》、道場の坊主が通りかかって助けてくれたが、その後《ご》東京へ帰ってから、とうとう腹膜炎で死んでしまった。死んだのは腹膜炎だが、腹膜炎になった原因は僧堂で麦飯や万年漬《まんねんづけ》を食ったせいだから、つまるところは間接に独仙が殺したようなものさ」
「むやみに熱中するのも善《よ》し悪《あ》ししだね」と主人はちょっと気味のわるいという顔付をする。
「本当にさ。独仙にやられたものがもう一人同窓中にある」
「あぶないね。誰だい」
「立町老梅君《たちまちろうばいくん》さ。あの男も全く独仙にそそのかされて鰻《うなぎ》が天上するような事ばかり言っていたが、とうとう君本物になってしまった」
「本物たあ何だい」
「とうとう鰻が天上して、豚が仙人になったのさ」
「何の事だい、それは」
「八木が独仙なら、立町は豚仙《ぶたせん》さ、あのくらい食い意地のきたない男はなかったが、あの食意地と禅坊主のわる意地が併発《へいはつ》したのだから助からない。始めは僕
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