女子の品性の比較について大《だい》なる参考になる材料だから、そんなに容易《たやす》くやめられるものか――それで僕がおやじと伊勢源の前までくると、例の人売りがおやじを見て旦那女の子の仕舞物《しまいもの》はどうです、安く負けておくから買っておくんなさいと云いながら天秤棒《てんびんぼう》をおろして汗を拭《ふ》いているのさ。見ると籠の中には前に一人|後《うし》ろに一人両方とも二歳ばかりの女の子が入れてある。おやじはこの男に向って安ければ買ってもいいが、もうこれぎりかいと聞くと、へえ生憎《あいにく》今日はみんな売り尽《つく》してたった二つになっちまいました。どっちでも好いから取っとくんなさいなと女の子を両手で持って唐茄子《とうなす》か何ぞのようにおやじの鼻の先へ出すと、おやじはぽんぽんと頭を叩《たた》いて見て、ははあかなりな音だと云っス。それからいよいよ談判が始まって散々《さんざ》価切《ねぎ》った末おやじが、買っても好いが品はたしかだろうなと聞くと、ええ前の奴は始終見ているから間違はありませんがね後《うし》ろに担《かつ》いでる方は、何しろ眼がないんですから、ことによるとひびが入ってるかも知れませ
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