ていなくちゃいかん。――彼等希臘人が競技において得るところの賞与は彼等が演ずる技芸その物より貴重なものである。それ故に褒美《ほうび》にもなり、奨励の具ともなる。しかし智識その物に至ってはどうである。もし智識に対する報酬として何物をか与えんとするならば智識以上の価値あるものを与えざるべからず。しかし智識以上の珍宝が世の中にあろうか。無論あるはずがない。下手なものをやれば智識の威厳を損する訳になるばかりだ。彼等は智識[#「智識」に傍点]に対して千両箱をオリムパスの山ほど積み、クリーサスの富を傾《かたむ》け尽《つく》しても相当の報酬を与えんとしたのであるが、いかに考えても到底《とうてい》釣り合うはずがないと云う事を観破《かんぱ》して、それより以来と云うものは奇麗さっぱり何にもやらない事にしてしまった。黄白青銭《こうはくせいせん》が智識の匹敵《ひってき》でない事はこれで十分理解出来るだろう。さてこの原理を服膺《ふくよう》した上で時事問題に臨《のぞ》んで見るがいい。金田某は何だい紙幣《さつ》に眼鼻をつけただけの人間じゃないか、奇警なる語をもって形容するならば彼は一個の活動紙幣《かつどうしへい》に
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