過ぎんのである。活動紙幣の娘なら活動切手くらいなところだろう。翻《ひるがえ》って寒月君は如何《いかん》と見ればどうだ。辱《かたじ》けなくも学問最高の府を第一位に卒業して毫《ごう》も倦怠《けんたい》の念なく長州征伐時代の羽織の紐をぶら下げて、日夜|団栗《どんぐり》のスタビリチーを研究し、それでもなお満足する様子もなく、近々《きんきん》の中ロード・ケルヴィンを圧倒するほどな大論文を発表しようとしつつあるではないか。たまたま吾妻橋《あずまばし》を通り掛って身投げの芸を仕損じた事はあるが、これも熱誠なる青年に有りがちの発作的《ほっさてき》所為《しょい》で毫《ごう》も彼が智識の問屋《とんや》たるに煩《わずら》いを及ぼすほどの出来事ではない。迷亭一流の喩《たとえ》をもって寒月君を評すれば彼は活動図書館である。智識をもって捏《こ》ね上げスる二十八|珊《サンチ》の弾丸である。この弾丸が一たび時機を得て学界に爆発するなら、――もし爆発して見給え――爆発するだろう――」迷亭はここに至って迷亭一流と自称する形容詞が思うように出て来ないので俗に云う竜頭蛇尾《りゅうとうだび》の感に多少ひるんで見えたがたちまち「
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