]と云《い》うような胡乱《うろん》な文字を使用した?――さあ、それがすこぶる意味のある事だて。元来吾輩の考によると大空《たいくう》は万物を覆《おお》うため大地は万物を載《の》せるために出来ている――いかに執拗《しつよう》な議論を好む人間でもこの事実を否定する訳には行くまい。さてこの大空大地《たいくうだいち》を製造するために彼等人類はどのくらいの労力を費《つい》やしているかと云うと尺寸《せきすん》の手伝もしておらぬではないか。自分が製造しておらぬものを自分の所有と極《き》める法はなかろう。自分の所有と極めても差《さ》し支《つか》えないが他の出入《しゅつにゅう》を禁ずる理由はあるまい。この茫々《ぼうぼう》たる大地を、小賢《こざか》しくも垣を囲《めぐ》らし棒杭《ぼうぐい》を立てて某々所有地などと劃《かく》し限るのはあたかもかの蒼天《そうてん》に縄張《なわばり》して、この部分は我《われ》の天、あの部分は彼《かれ》の天と届け出るような者だ。もし土地を切り刻んで一坪いくらの所有権を売買するなら我等が呼吸する空気を一尺立方に割って切売をしても善い訳である。空気の切売が出来ず、空の縄張が不当なら地面の
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