》は鉄軌《レエル》を高きに隔つる事|丈《じょう》を重ねて十に至って南より北に横ぎる。欄に倚《よ》って俯《ふ》すとき広き両岸の青《せい》を極《きわ》めつくして、始めて石垣に至る。石垣を底に見下《みおろ》して始めて茶色の路《みち》が細く横《よこた》わる。鉄軌は細い路のなかに細く光る。――二人は断橋の上まで来て留《とま》った。
「いい景色だね」
「うん、ええ景色じゃ」
 二人は欄に倚《よ》って立った。立って見る間《ま》に、限りなき麦は一分《いちぶ》ずつ延びて行く。暖たかいと云わんよりむしろ暑い日である。
 青蓆《あおむしろ》をのべつに敷いた一枚の果《はて》は、がたりと調子の変った地味な森になる。黒ずんだ常磐木《ときわぎ》の中に、けばけばしくも黄を含む緑の、粉《こ》となって空に吹き散るかと思われるのは、樟《くす》の若葉らしい。
「久しぶりで郊外へ来て好い心持だ」
「たまには、こう云う所も好《え》えな。僕はしかし田舎《いなか》から帰ったばかりだからいっこう珍しゅうない」
「君はそうだろう。君をこんな所へ連れて来たのは少し気の毒だったね」
「なに構わん。どうせ遊《あす》んどるんだから。しかし人間も
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