帯にある。唐錦《からにしき》小袖《こそで》振袖《ふりそで》の擦《す》れ違うところにある。――文明の詩は金にある。小野さんは詩人の本分を完《まっと》うするために金を得ねばならぬ。
 詩を作るより田を作れと云う。詩人にして産を成したものは古今を傾けて幾人もない。ことに文明の民は詩人の歌よりも詩人の行《おこない》を愛する。彼らは日ごと夜ごとに文明の詩を実現して、花に月に富貴《ふうき》の実生活を詩化しつつある。小野さんの詩は一文にもならぬ。
 詩人ほど金にならん商買《しょうばい》はない。同時に詩人ほど金のいる商買もない。文明の詩人は是非共|他《ひと》の金で詩を作り、他の金で美的生活を送らねばならぬ事となる。小野さんがわが本領を解する藤尾《ふじお》に頼《たより》たくなるのは自然の数《すう》である。あすこには中以上の恒産《こうさん》があると聞く。腹違の妹を片づけるにただの箪笥《たんす》と長持で承知するような母親ではない。ことに欽吾《きんご》は多病である。実の娘に婿《むこ》を取って、かかる気がないとも限らぬ。折々に、解いて見ろと、わざとらしく結ぶ辻占《つじうら》があたればいつも吉《きち》である。急《
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