簡な質問を受けた。
「ざつと斯《か》う云ふ経過だ」と説明の結末を付《つ》けた時、平岡はたゞ唸《うな》る様に深《ふか》い溜息《ためいき》を以て代助に答へた。代助は非常に酷《つら》かつた。
「君の立場《たちば》から見れば、僕は君を裏切りした様に当る。怪《け》しからん友達《ともだち》だと思ふだらう。左様《さう》思れても一言《いちごん》もない。済《す》まない事になつた」
「すると君は自分のした事を悪《わる》いと思つてるんだね」
「無論」
「悪《わる》いと思ひながら今日《こんにち》迄歩を進めて来《き》たんだね」と平岡は重ねて聞《き》いた。語気は前よりも稍切迫してゐた。
「左様《さう》だ。だから、此事《このこと》に対して、君の僕等に与へやうとする制裁は潔よく受ける覚悟だ。今のはたゞ事実を其儘に話した丈で、君の処分の材料にする考だ」
 平岡は答へなかつた。しばらくしてから、代助の前へ顔を寄せて云つた。
「僕の毀損された名誉が、回復出来る様な手段が、世の中《なか》にあり得ると、君は思つてゐるのか」
 今度は代助の方が答へなかつた。
「法律や社会の制裁は僕には何にもならない」と平岡は又云つた。
「すると
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