、門野が代助から出した手紙の返事を聞《き》きにわざ/\小石川迄|遣《や》つて来《き》た。
「君の用事と三千代の云ふ事と何か関係があるのかい」と平岡は不思議さうに代助を見た。
十六の八
平岡の話は先刻《さつき》から深い感動を代助に与へてゐたが、突然此思はざる問《とひ》に来《き》た時《とき》、代助はぐつと詰《つま》つた。平岡の問は実に意表に、無邪気に、代助の胸《むね》に応《こた》へた。彼《かれ》は何時《いつ》になく少《すこ》し赤面《せきめん》して俯向《うつむ》いた。然し再《ふたゝび》顔《かほ》を上《あ》げた時は、平生の通り静かな悪《わる》びれない態度を回復してゐた。
「三千代さんの君《きみ》に詫《あや》まる事と、僕の君に話したい事とは、恐らく大いなる関係があるだらう。或は同《おんな》じ事かも知れない。僕は何《ど》うしても、それを君に話さなければならない。話す義務があると思ふから話《はな》すんだから、今日迄の友誼に免《めん》じて、快《こゝろ》よく僕に僕の義務を果《はた》さして呉れ給へ」
「何だい。改《あら》たまつて」と平岡は始めて眉を正《たゞ》した。
「いや前置をすると言
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