すまい。尤も御父さんは未《ま》だ怒《おこ》つて御|出《いで》の様子です。私の考では当分|昔《むかし》の通りになる事は、六づかしいと思ひます。それを考へると、貴方《あなた》が入らつしやらない方が却つて貴方《あなた》の為《ため》に宜《い》いかも知れません。たゞ心配になるのは月々|上《あ》げる御|金《かね》の事です。貴方《あなた》の事だから、さう急に自分で御|金《かね》を取る気遣はなからうと思ふと、差し当り御困りになるのが眼の前に見える様で、御気の毒で堪《たま》りません。で、私の取計で例月分を送つて上《あ》げるから、御受取の上は是で来月迄持ち応《こた》へて入らつしやい。其|内《うち》には御父さんの御機嫌も直《なほ》るでせう。又|兄《にい》さんからも、さう云つて頂く積です。私《わたくし》も好《い》い折《をり》があれば、御|詫《わび》をして上《あ》げます。それ迄は今迄通り遠慮して入らつしやる方が宜《よ》う御座います。……」
まだ後《あと》が大分あつたが、女の事だから、大抵は重複に過ぎなかつた。代助は中《なか》に這入つてゐた小切手を引き抜《ぬ》いて、手紙丈をもう一遍よく読み直した上《うへ》、丁寧
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