か》りは二人《ふたり》の顔を照らすには余り不充分であつた。代助は掛《か》けてゐる籐《と》椅子の肱掛《ひぢかけ》を両手で握《にぎ》つた。
「余程|悪《わる》いのか」と強く聞いた。
「何《ど》うですか、能く分《わか》りませんが。何《なん》でもさう軽《かる》さうでもない様でした。然し平岡さんが明日《あした》御出《おいで》になられる位なんだから、大《たい》した事《こと》ぢやないでせう」
代助は少し安心した。
「何だい。病気は」
「つい聞《き》き落《おと》しましたがな」
二人《ふたり》の問答は夫《それ》で絶《た》えた。門野《かどの》は暗《くら》い廊下を引き返して、自分の部屋へ這入つた。静《しづ》かに聞いてゐると、しばらくして、洋燈《ランプ》の蓋《かさ》をホヤに打《ぶ》つける音《おと》がした。門野は灯火《あかり》を点《つ》けたと見えた。
代助は夜《よ》の中《なか》に猶|凝《じつ》としてゐた。凝《じつ》としてゐながら、胸《むね》がわく/\した。握《にぎ》つてゐる肱掛《ひぢかけ》に、手から膏《あぶら》が出《で》た。代助は又手を鳴らして門野を呼び出した。門野《かどの》のぼんやりした白地《しろぢ》が
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