《き》て呉れ玉へ」と頼《たの》んだ。猶要領を得ぬ恐《おそれ》がありさうなので、先達てこれ/\の手紙を新聞社の方へ出して置いたのだと云ふ事迄説明して聞《き》かした。
 門野《かどの》を出《だ》した後《あと》で、代助は椽側に出《で》て、椅子に腰を掛《か》けた。門野《かどの》の帰つた時は、洋燈《ランプ》を吹《ふ》き消《け》して、暗《くら》い中《なか》に凝《じつ》としてゐた。門野《かどの》は暗《くら》がりで、
「行《い》つて参りました」と挨拶をした。「平岡さんは御居《おゐ》でゞした。手紙は御覧になつたさうです。明日《あした》の朝《あさ》行《い》くからといふ事です」
「左様《さう》かい、御苦労さま」と代助は答へた。
「実《じつ》はもつと早く出《で》るんだつたが、うちに病人が出来たんで遅《おそ》くなつたから、宜《よろ》しく云つてくれろと云はれました」
「病人?」と代助は思はず問《と》ひ返《かへ》した。門野《かどの》は暗《くら》い中《なか》で、
「えゝ、何でも奥さんが御悪《おわる》い様です」と答へた。門野の着《き》てゐる白地の浴衣《ゆかた》丈がぼんやり代助の眼《め》に入《い》つた。夜《よる》の明《あ
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