《むね》を躍《おど》らせた。が、そのうち大《おほ》いなる空《そら》と、大いなる夢《ゆめ》のうちに、吾知らず吸収された。
翌日の朝《あさ》彼は思ひ切つて平岡へ手紙を出《だ》した。たゞ、内々で少し話したい事があるが、君の都合を知らせて貰《もら》ひたい。此方《こつち》は何時《いつ》でも差支ない。と書いた丈だが、彼《かれ》はわざとそれを封書にした。状袋の糊《のり》を湿《し》めして、赤い切手をとんと張《は》つた時には、愈クライシスに証券を与へた様な気がした。彼は門野《かどの》に云ひ付けて、此運命の使《つかひ》を郵便|函《ばこ》に投《な》げ込ました。手|渡《わた》しにする時、少し手先が顫《ふる》へたが、渡したあとでは却つて茫然として自失した。三年前三千代と平岡の間《あひだ》に立《た》つて斡旋《あつせん》の労を取つた事を追想すると丸で夢の様であつた。
十六の五
翌日《よくじつ》は平岡の返事を心待《こゝろまち》に待《ま》ち暮《く》らした。其|明《あく》る日も当《あて》にして終日《しうじつ》宅《うち》にゐた。三日《みつか》四日《よつか》と経《た》つた。が、平《ひら》岡からは何の便《
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