ん》骨が折れた。代助は腕《うで》が痛《いた》いと云つて、好加減《いゝかげん》にして足を拭《ふ》いて上《あが》つた。烟草《たばこ》を吹《ふ》いて、椽側に休んでゐると、門野が其姿を見《み》て、
「先生心臓の鼓動が少々|狂《くる》やしませんか」と下《した》から調戯《からか》つた。
晩には門野《かどの》を連《つ》れて、神楽坂の縁日へ出《で》掛けて、秋草《あきくさ》を二鉢三鉢買つて来《き》て、露《つゆ》の下《お》りる軒《のき》の外《そと》へ並《なら》べて置《お》いた。夜は深く空《そら》は高《たか》かつた。星の色《いろ》は濃《こ》く繁《しげ》く光《ひか》つた。
代助は其晩わざと雨戸《あまど》を引《ひ》かずに寐《ね》た。無《ぶ》用心と云ふ恐れが彼《かれ》の頭《あたま》には全く無《な》かつた。彼は洋燈《ランプ》を消《け》して、蚊帳《かや》の中《なか》に独《ひと》り寐転《ねころ》びながら、暗《くら》い所から暗い空《そら》を透《す》かして見た。頭《あたま》の中《なか》には昼《ひる》の事が鮮《あざや》かに輝《かゞや》いた。もう二三|日《にち》のうちには最後の解決が出来《でき》ると思つて幾|度《たび》か胸
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