》まらしちや済《す》まないぢやありませんか」
三千代は声を立《た》てゝ泣いた。代助は慰撫《なだ》める様に、
「ぢや我慢しますか」と聞《き》いた。
「我慢はしません。当り前《まへ》ですもの」
「是から先《さき》まだ変化がありますよ」
「ある事は承知してゐます。何《ど》んな変化があつたつて構やしません。私《わたくし》は此間《このあひだ》から、――此間《このあひだ》から私《わたくし》は、若《もし》もの事があれば、死ぬ積で覚悟を極《き》めてゐるんですもの」
代助は慄然《りつぜん》として戦《おのの》いた。
「貴方《あなた》に是《これ》から先《さき》何《どう》したら好《い》いと云ふ希望はありませんか」と聞いた。
「希望なんか無《な》いわ。何《なん》でも貴方《あなた》の云ふ通りになるわ」
「漂|泊《はく》――」
「漂泊でも好《い》いわ。死ねと仰《おつ》しやれば死ぬわ」
代助は又|竦《ぞつ》とした。
「此儘《このまゝ》では」
「此儘《このまゝ》でも構はないわ」
「平岡君は全く気が付《つ》いてゐない様ですか」
「気が付《つ》いてゐるかも知れません。けれども私《わたくし》もう度胸を据ゑてゐるから大丈
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