た。
「今《いま》貴方《あなた》の御父様《おとうさま》の御話《おはなし》を伺《うかゞ》つて見ると、斯《か》うなるのは始めから解《わか》つてるぢやありませんか。貴方《あなた》だつて、其位な事は疾《と》うから気が付《つ》いて入《いら》つしやる筈だと思ひますわ」
代助は返事が出来なかつた。頭《あたま》を抑えて、
「少し脳が何《ど》うかしてゐるんだ」と独《ひと》り言《ごと》の様に云つた。三千代は少し涙《なみだ》ぐんだ。
「もし、夫《それ》が気になるなら、私《わたくし》の方は何《ど》うでも宜《よ》う御座《ござ》んすから、御父様《おとうさま》と仲《なか》直りをなすつて、今迄通り御|交際《つきあひ》になつたら好《い》いぢやありませんか」
代助は急に三千代の手頸《てくび》を握《にぎ》つてそれを振《ふ》る様に力を入れて云つた。――
「そんな事を為《す》る気《き》なら始めから心配をしやしない。たゞ気の毒だから貴方《あなた》に詫《あやま》るんです」
「詫《あや》まるなんて」と三千代は声を顫《ふる》はしながら遮《さへぎ》つた。「私《わたくし》が源因《もと》で左様《さう》なつたのに、貴方《あなた》に詫《あや
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