明日《あした》は是非共三千代に逢はなければならないと決心した。
 其夜代助は寐《ね》ながら、何《ど》う云ふ手段で三千代に逢はうかと云ふ問題を考へた。手紙を車夫に持たせて宅《うち》へ呼びに遣《や》れば、来《く》る事は来《く》るだらうが、既《すで》に今日《けふ》嫂《あによめ》との会談が済んだ以上は、明日《あした》にも、兄《あに》か嫂《あによめ》の為《ため》に、向ふから襲はれないとも限《かぎ》らない。又平岡のうちへ行つて逢ふ事は代助に取つて一種の苦痛があつた。代助は已を得ず、自分にも三千代にも関係のない所で逢ふより外《ほか》に道はないと思つた。
 夜半から強く雨が降り出《だ》した。釣《つ》つてある蚊帳《かや》が、却つて寒く見える位な音《おと》がどう/\と家《いへ》を包《つゝ》んだ。代助は其|音《おと》の中《うち》に夜の明《あ》けるのを待《ま》つた。

       十四の七

 雨《あめ》は翌日《よくじつ》迄|晴《は》れなかつた。代助は湿《しめ》つぽい椽側に立《た》つて、暗《くら》い空模様《そらもやう》を眺《なが》めて、昨夕《ゆふべ》の計画を又|変《か》えた。彼《かれ》は三千代を普通の待合抔
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