へ呼んで、話をするのが不愉快であつた。已《や》むなくんば、蒼《あを》い空《そら》の下《した》と思つてゐたが、此天気では夫《それ》も覚束なかつた。と云つて、平岡の家《いへ》へ出向《でむ》く気は始めから無《な》かつた。彼は何《ど》うしても、三千代を自分の宅《うち》へ連《つ》れて来《く》るより外《ほか》に道はないと極《き》めた。門野《かどの》が少し邪魔になるが、話《はなし》のし具合では書生部屋に洩れない様にも出来《でき》ると考へた。
午《ひる》少《すこ》し前《まへ》迄は、ぼんやり雨《あめ》を眺《なが》めてゐた。午飯《ひるめし》を済《す》ますや否や、護謨《ごむ》の合羽《かつぱ》を引き掛けて表へ出た。降《ふ》る中《なか》を神楽坂下《かぐらざかした》迄|来《き》て青山《あをやま》の宅《うち》へ電話を掛《か》けた。明日《あす》此方《こつち》から行く積《つもり》であるからと、機先《きせん》を制して置《お》いた。電話|口《ぐち》へは嫂《あによめ》が現《あらは》れた。先達《せんだつ》ての事は、まだ父《ちゝ》に話《はな》さないでゐるから、もう一遍よく考《かんが》へ直して御覧なさらないかと云はれた。代助は感
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