》く様に踊つてゐた。それが、少し衰へると、今度は自己の行為に対して、云ふべからざる汚辱の意味を感じた。彼は何の故に、斯《か》ゝる下劣な真似をして、恰かも驚ろかされたかの如くに退却したのかを怪しんだ。彼《かれ》は暗《くら》い小路《こみち》に立つて、世界が今《いま》夜《よる》に支配されつゝある事を私かに喜《よろこ》んだ。しかも五月雨《さみだれ》の重い空気に鎖《とざ》されて、歩《ある》けば歩《ある》く程、窒息《ちつそく》する様な心持がした。神楽坂上《かぐらざかうへ》へ出《で》た時、急に眼《め》がぎら/\した。身《み》を包《つゝ》む無数の人《ひと》と、無数の光《ひかり》が頭《あたま》を遠慮なく焼《や》いた。代助は逃《に》げる様に藁店《わらだな》を上《あが》つた。
家《うち》へ帰ると、門野《かどの》が例の如く漫然《まんぜん》たる顔をして、
「大分《だいぶ》遅うがしたな。御飯《ごはん》はもう御済《おす》みになりましたか」と聞いた。
代助は飯《めし》が欲《ほ》しくなかつたので、要《い》らない由《よし》を答へて、門野《かどの》を追《お》ひ帰《かへ》す様に、書斎から退《しり》ぞけた。が、二三|分《ぷ
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