」と聞き直《なほ》した。代助は先《さき》の質問を繰り返した時、嫂《あによめ》は尤も無頓着な調子で、
「何《ど》うしましたつて、例の如くですわ」と答へた。
「相変らず、留守|勝《がち》ですか」
「えゝ、えゝ、朝《あさ》も晩《ばん》も滅多に宅《うち》に居た事はありません」
「姉《ねえ》さんは夫《それ》で淋《さむ》しくはないですか」
「今更《いまさら》改《あらた》まつて、そんな事《こと》を聞《き》いたつて仕方《しかた》がないぢやありませんか」と梅子は笑ひ出《だ》した。調戯《からか》ふんだと思つたのか、あんまり小供染みてゐると思つたのか殆んど取り合ふ気色《けしき》はなかつた。代助も平生の自分を振《ふ》り返つて見て、真面目《まじめ》に斯《こ》んな質問を掛《か》けた今の自分を、寧ろ奇体に思つた。今日《こんにち》迄|兄《あに》と嫂《あによめ》の関係を長い間《あひだ》目撃してゐながら、ついぞ其所《そこ》には気が付《つ》かなかつた。嫂《あによめ》も亦代助の気が付《つ》く程物足りない素振《そぶり》は見せた事がなかつた。
「世間《せけん》の夫|婦《ふ》は夫《それ》で済《す》んで行《い》くものかな」と独言《ひ
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