が」と代助は遂《つい》に云ひ出《だ》した。すると、平岡は急に様子を変へて、落ち付《つ》かない眼《め》を代助の上《うへ》に注《そゝ》いだが、卒然《そつぜん》として、
「そりや、僕も疾《と》うから、何《ど》うかする積《つもり》なんだけれども、今《いま》の所ぢや仕方《しかた》がない。もう少《すこ》し待つて呉れ玉へ。其代り君の兄《にい》さんや御父《おとつ》さんの事も、斯《か》うして書《か》かずにゐるんだから」と代助には意表な返事をした。代助は馬鹿馬鹿しいと云ふより、寧ろ一種の憎悪《ぞうお》を感じた。
「君《きみ》も大分《だいぶ》変《かは》つたね」と冷《ひやゝ》かに云つた。
「君《きみ》の変《かは》つた如《ごと》く変《かは》つちまつた。斯《か》う摺《す》れちや仕方《しかた》がない。だから、もう少《すこ》し待つて呉《く》れ給《たま》へ」と答へて、平岡はわざとらしい笑《わら》ひ方《かた》をした。
十三の七
代助は平岡の言語《げんご》の如何《いかん》に拘《かゝ》はらず、自分の云ふ事丈は云はうと極《き》めた。なまじい、借金の催促に来《き》たんぢやない抔と弁明《べんめい》すると、又平岡
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