こしら》えた凡ての計画よりも偉大なものと信じてゐたからである。だから父《ちゝ》が、自分の自然に逆《さか》らつて、父《ちゝ》の計画通りを強ひるならば、それは、去られた妻《つま》が、離縁状を楯《たて》に夫婦の関係を証拠|立《だ》てやうとすると一般であると考へた。けれども、そんな理窟を、父《ちゝ》に向つて述《の》べる気は、丸でなかつた。父《ちゝ》を理攻《りぜめ》にする事は困難中の困難であつた。其困難を冒した所で、代助に取つては何等の利益もなかつた。其結果は父《ちゝ》の不興を招く丈で、理由を云はずに結婚を拒絶するのと撰む所はなかつた。
 彼《かれ》は父《ちゝ》と兄《あに》と嫂《あによめ》の三人《さんにん》の中《うち》で、父《ちゝ》の人格に尤も疑《うたがひ》を置《お》いた。今度の結婚にしても、結婚其物が必ずしも父《ちゝ》の唯|一《いつ》の目的ではあるまいと迄推察した。けれども父《ちゝ》の本意が何処《どこ》にあるかは、固《もと》より明《あき》らかに知る機会を与へられてゐなかつた。彼は子として、父《ちゝ》の心意を斯様《かやう》に揣摩する事を、不徳義とは考へなかつた。従つて自分丈が、多くの親子《おやこ
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