た。此二つの対照から華《はな》やかな特長を生ずる令嬢の顔の形は、寧ろ丸い方であつた。

       十二の六

 食卓《しよくたく》は、人数《にんず》が人数《にんず》だけに、左程大きくはなかつた。部屋の広《ひろ》さに比例して、寧《むし》ろ小《ち》さ過《すぎ》る位であつたが、純白《じゆんぱく》な卓布を、取り集めた花で綴《つゞ》つて、其中《そのなか》に肉刀《ナイフ》と肉匙《フオーク》の色《いろ》が冴《さ》えて輝《かゞや》いた。
 卓上の談話は重《おも》に平凡な世間|話《ばなし》であつた。始《はじめ》のうちは、それさへ余《あま》り興味が乗《の》らない様に見えた。父《ちゝ》は斯《か》う云ふ場合には、よく自分の好《す》きな書画骨董の話《はなし》を持ち出《だ》すのを常《つね》としてゐた。さうして気《き》が向《む》けば、いくらでも、蔵《くら》から出《だ》して来《き》て、客《きやく》の前《まへ》に陳《なら》べたものである。父《ちゝ》の御蔭《おかげ》で、代助は多少|斯道《このみち》に好悪《こうお》を有《も》てる様になつてゐた。兄《あに》も同様の原因から、画家の名前位は心得てゐた。たゞし、此方《このほう
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