》誠太郎は、父《ちゝ》の使《つかひ》に来《き》たのであつた。其口上は、明日《あした》の十一時迄に一寸《ちよつと》来《き》て呉れと云ふのであつた。代助はさう/\父《ちゝ》や兄《あに》に呼び付《つ》けられるが面倒であつた。誠太郎に向つて、半分|怒《おこ》つた様に、
「何《なん》だい、苛《ひど》いぢやないか。用も云はないで、無暗《むやみ》に人《ひと》を呼びつけるなんて」と云つた。誠太郎は矢っ張りにや/\してゐた。代助はそれぎり話《はなし》を外《ほか》へそらして仕舞つた。新聞に出てゐる相撲の勝負が、二人《ふたり》の題目の重《おも》なるものであつた。
晩食《ばんめし》を食《く》つて行《い》けと云ふのを学校の下調があると云つて辞退して誠太郎は帰つた。帰る前に、
「それぢや、叔父《おぢ》さん、明日《あした》は来《こ》ないんですか」と聞《き》いた。代助は已を得ず、
「うむ。何《ど》うだか分《わか》らない。叔父《おぢ》さんは旅行するかも知れないからつて、帰つてさう云つて呉れ」と云つた。
「何時《いつ》」と誠太郎が聞き返したとき、代助は今日《けふ》明日《あす》のうちと答へた。誠太郎はそれで納得して、玄関
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