ら》べてあつた。門野《かどの》に聞《き》いたら、へえ左様《さう》です、先方《さつき》から待《ま》つて御出《おいで》ですといふ答《こたへ》であつた。代助はすぐ書斎へ来《き》て見《み》た。誠太郎は、代助の坐《すは》る大きな椅子《いす》に腰《こし》を掛《か》けて、洋卓《テーブル》の前《まへ》で、アラスカ探検《たんけん》記を読んでゐた。洋卓《テーブル》の上《うへ》には、蕎麦饅《そばまん》頭と茶|盆《ぼん》が一所に乗つてゐた。
「誠太郎、何だい、人《ひと》のゐない留守《るす》に来《き》て、御馳走だね」と云ふと、誠太郎は、笑ひながら、先づアラスカ探検記をポツケツトへ押し込んで、席《せき》を立《た》つた。
「其所《そこ》に居《ゐ》るなら、ゐても構《かま》はないよ」と云つても、聞《き》かなかつた。
代助は誠太郎を捕《つら》まえて、例《いつも》の様に調戯《からか》ひ出《だ》した。誠太郎は此間《このあひだ》代助が歌舞伎|座《ざ》でした欠伸《あくび》の数《かず》を知つてゐた。さうして、
「叔父《おぢ》さんは何時《いつ》奥さんを貰《もら》ふの」と、又|先達《せんだつ》てと同じ様な質問を掛けた。
此|日《ひ
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