》たく見えた。青《あを》い空《そら》は、屋根《やね》の上《うへ》にすぐ塗《ぬ》り付《つ》けられてゐた。
代助は二三の唐物|屋《や》を冷《ひや》かして、入用《いりやう》の品《しな》を調《とゝの》へた。其中《そのなか》に、比較的|高《たか》い香水があつた。資生堂で練歯磨《ねりはみがき》を買はうとしたら、若《わか》いものが、欲《ほ》しくないと云ふのに自製のものを出《だ》して、頻《しきり》に勧《すゝ》めた。代助は顔《かほ》をしかめて店《みせ》を出《で》た。紙包《かみゞつみ》を腋《わき》の下《した》に抱《かゝ》へた儘、銀座の外《はづ》れ迄|遣《や》つて来《き》て、其所《そこ》から大根河岸《だいこんがし》を回《まは》つて、鍛冶橋《かじばし》を丸の内《うち》へ志《こゝろざ》した。当《あて》もなく西《にし》の方へ歩《ある》きながら、是《これ》も簡便な旅行と云へるかも知れないと考へた揚句《あげく》、草臥《くたび》れて車《くるま》をと思つたが、何処《どこ》にも見当《みあた》らなかつたので又電車へ乗《の》つて帰つた。
家《うち》の門《もん》を這入《はい》ると、玄関に誠太郎のらしい履《くつ》が叮嚀に并《な
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