を廃《や》めて、其代りに新らしい玩具《おもちや》を買《か》つて送《おく》る事にした。
代助は友人の手紙を封筒に入れて、自分と同じ傾向を有《も》つてゐた此旧友が、当時とは丸で反対の思想と行動とに支配されて、生活の音色《ねいろ》を出《だ》してゐると云ふ事実を、切《せつ》に感じた。さうして、命《いのち》の絃《いと》の震動《しんどう》から出《で》る二人《ふたり》の響《ひゞき》を審《つまびら》かに比較した。
彼《かれ》は理論家《セオリスト》として、友人の結婚《けつこん》を肯《うけが》つた。山《やま》の中《なか》に住《す》んで、樹《き》や谷《たに》を相手にしてゐるものは、親《おや》の取り極《き》めた通りの妻《つま》を迎へて、安全な結果を得るのが自然の通則と心得たからである。彼《かれ》は同じ論法で、あらゆる意味の結婚が、都会人士には、不幸を持ち来《きた》すものと断定した。其原因を云へば、都会は人間《にんげん》の展覧会に過ぎないからであつた。彼は此前提《このぜんてい》から此《この》結論に達する為《ため》に斯《か》う云ふ径路を辿《たど》つた。
彼は肉体と精神に於て美《び》の類別を認める男であつた。
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