じめ》になつた。
「おや、日曜か」と代助は驚ろいた。
 直木は代助の顔《かほ》を見てとう/\笑ひ出《だ》した。代助も笑つて、座敷へ来《き》た。そこには誰《だれ》も居なかつた。替《か》え立ての畳《たゝみ》の上《うへ》に、丸い紫檀の刳抜盆《くりぬきぼん》が一つ出《で》てゐて、中《なか》に置いた湯呑には、京都の浅井黙語の模様|画《ぐわ》が染《そ》め付《つ》けてあつた。からんとした広《ひろ》い座敷へ朝《あさ》の緑《みどり》が庭《には》から射《さ》し込んで、凡《すべ》てが静《しづ》かに見えた。戸外《そと》の風《かぜ》は急に落ちた様に思はれた。
 座敷を通り抜《ぬ》けて、兄《あに》の部屋《へや》の方《ほう》へ来《き》たら、人《ひと》の影《かげ》がした。
「あら、だつて、夫《それ》ぢや余《あん》まりだわ」と云ふ嫂《あによめ》の声が聞えた。代助は中《なか》へ這入つた。中《なか》には兄《あに》と嫂《あによめ》と縫子がゐた。兄《あに》は角帯《かくおび》に金鎖《きんぐさり》を巻《ま》き付《つ》けて、近頃流行る妙な絽《ろ》の羽織を着《き》て、此方《こちら》を向《む》いて立つてゐた。代助の姿《すがた》を見て、

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