半睡の状態で宙《ちう》に運《はこ》んで行く有様が愉快であつた。青山《あをやま》の家《うち》へ着く時分には、起《お》きた頃とは違《ちが》つて、気色《きしよく》が余程晴々して来《き》た。
十一の六
何《なに》か事《こと》が起《おこ》つたのかと思つて、上《あが》り掛《が》けに、書生部屋を覗《のぞ》いて見たら、直木《なほき》と誠太郎がたつた二人《ふたり》で、白砂糖《しろざとう》を振《ふ》り掛《か》けた苺《いちご》を食《く》つてゐた。
「やあ、御馳走だな」と云ふと、直木は、すぐ居《ゐ》ずまひを直《なほ》して、挨拶をした。誠太郎は唇《くちびる》の縁《ふち》を濡《ぬ》らした儘《まゝ》、突然、
「叔父《おぢ》さん、奥《おく》さんは何時《いつ》貰《もら》ふんですか」と聞《き》いた。直木はにや/\してゐる。代助は一寸返答に窮した。已を得ず、
「今日《けふ》は何故《なぜ》学校《がつこう》へ行《い》かないんだ。さうして朝《あさ》つ腹《ぱら》から苺《いちご》なんぞを食《く》つて」と調戯《からか》ふ様に、叱《しか》る様に云つた。
「だつて今日《けふ》は日曜ぢやありませんか」と誠太郎は真面目《ま
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