》の頭《あたま》を振《ふ》つてみて、二つのものを混《ま》ぜやうと力《つと》めたものである。彼《かれ》は今《いま》枕《まくら》の上《うへ》へ髪《かみ》を着《つ》けたなり、右《みぎ》の手を固《かた》めて、耳《みゝ》の上《うへ》を二三度|敲《たゝ》いた。
 代助は斯《か》ゝる脳髄《のうずい》の異状を以て、かつて酒《さけ》の咎《とが》に帰した事はなかつた。彼は小供の時《とき》から酒《さけ》に量を得た男であつた。いくら飲《の》んでも、左程平常を離れなかつた。のみならず、一度《いちど》熟睡さへすれば、あとは身体《からだ》に何の故障も認める事が出来《でき》なかつた。嘗《かつ》て何かのはづみに、兄《あに》と競《せ》り飲《の》みをやつて、三合入《さんごういり》の徳利を十三本倒した事がある。其|翌日《あくるひ》代助は平気な顔をして学校へ出《で》た。兄《あに》は二日《ふつか》も頭《あたま》が痛《いた》いと云つて苦《にが》り切《き》つてゐた。さうして、これを年齢《とし》の違《ちがひ》だと云つた。
 昨夕《ゆふべ》飲んだ麦酒《ビール》は是《これ》に比《くら》べると愚《おろか》なものだと、代助は頭《あたま》を敲《
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