り椽へ腰《こし》を掛《か》けて話《はな》した。
 夫《それ》から以後は可成小石川の方面へ立ち回《まは》らない事にして今夜《こんや》に至たのである。代助は竹早町へ上《あが》つて、それを向ふへ突き抜けて、二三町行くと、平岡と云ふ軒燈のすぐ前へ来《き》た。格子の外《そと》から声を掛《かけ》ると、洋燈《ランプ》を持つて下女が出《で》た。が平岡は夫婦とも留守であつた。代助は出先《でさき》も尋ねずに、すぐ引返して、電車へ乗つて、本郷迄|来《き》て、本郷から又神田へ乗り換えて、そこで降りて、あるビヤー、ホールへ這入つて、麦酒《ビール》をぐい/\飲んだ。

       十一の五

 翌日《よくじつ》眼《め》が覚《さ》めると、依然として脳《のう》の中心から、半径《はんけい》の違《ちが》つた円《えん》が、頭《あたま》を二重《にぢう》に仕切つてゐる様な心持がした。斯《か》う云ふ時に代助は、頭《あたま》の内側《うちがは》と外側《そとがは》が、質《しつ》の異《こと》なつた切り組《く》み細工で出来上《できあが》つてゐるとしか感じ得られない癖《くせ》になつてゐた。夫《それ》で能《よ》く自分《じぶん》で自分《じぶん
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